エボラ出血熱が猛威を振るう西アフリカのリベリアで、未承認の治療薬が初めてアフリカ人に投与された。効果に期待が高まるが、数量は圧倒的に不足。安全性や副作用への懸念は消えず、現場の医師らの判断は、救命と倫理のはざまで揺れ動く。
「モルモット批判」も
「これは万能薬ではない。患者はリスクを負わねばならないのだ」。ロイター通信によると、リベリア保健省高官は8月13日、米製薬会社が開発中の治療薬「ZMapp」の到着直後、沸き立つ世論にくぎを刺した。
ZMappは、リベリアで感染した米国人2人に投与されて症状の改善が見られ、注目が集まった。世界保健機関(WHO)は12日、未承認薬を条件付きで投与することは「倫理にかなう」と容認方針を発表。合わせるかのように、カナダ政府が臨床試験の済んでいないワクチンを提供する方針を示し、米製薬企業が未承認薬の臨床試験を急ぐ考えを表明した。