昨年(2013年)1年間で2198万台の新車が販売された世界最大の自動車市場を抱える中国。だが、このうち乗用車1793万台の60%近いシェアは日米欧など外国ブランド車で占められた。中国の国産メーカー車は安価な大衆車が大半だった。
このため、依然として中国メーカーが存在感を確立できていないことに習近平政権はいらだちを感じており、業界関係者は「独禁法と倹約令で外国ブランド高級車への“外資たたき”を行い、国産メーカーを保護している」とみる。
尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる日中関係の悪化で落ち込んだ日本メーカーの中国での販売は回復してきたが、自動車大手幹部は今回の摘発で「中国の政治リスクを再認識させられた」と話す。
抵抗勢力と権力闘争も
一方、今回の命令をめぐっては、習政権の思惑ものぞく。「独禁法を振りかざして、まず自動車業界でどこまで切り崩せるか試し、習政権は今後、石油や電力、通信など既得権益層が抵抗勢力となっている独占業界との権力闘争に挑むのではないか」と上海の有識者は話している。