現地邦人「驚きと期待」
ニュージーランドが昨年春の第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の予選に初めて出場した際、私はこの地に野球が根付く可能性を感じた。中村さんは長男がこの国で野球を始めた08年ごろのことについて、「当時はまだまだなじみが薄い競技で、野球の『や』の字も知らない人がほとんどでした」と話す。
野球人口が約6000人まで増え、WBC予選に出場できるまでになり、そこに日本でプロ野球の経験がある私がGM補佐と統括コーチになるというニュースを目にして、中村さんたち日本の関係者には「驚きと期待」が広がったそうだ。
もちろん、この国の野球レベルはまだまだ発展途上で、強化が実を結ぶには長い年月が必要だ。それでも、中村さんはこう言ってくれた。「野球を通じて母国である日本とつながりができていくということは、子供たちにとってもすごく喜ばしいことです」