東京電力福島第1原発で、政府と東電が進めてきた汚染水対策に前進の兆しが見え出した。1~4号機の地下へ流れ込む地下水を抑制する「地下水バイパス」などにより8月以降、最大約130トンの減量に成功。「凍土遮水壁」工事も本格化し、汚染水浄化設備「多核種除去装置(ALPS(アルプス))」も年内には本格稼働する。地下水流入の減量と汚染水処理がこのまま順調に進めば、難航する汚染水対策に道が開ける。
山側に「氷の壁」
東電によると、1~4号機建屋の地下には1日約400トンの地下水が流入し、汚染水化していた。そこで東電は今年5月以降、建屋山側に設置した12カ所の井戸から汚染前の地下水をくみ上げ海へ放出する地下水バイパスを続けていた。
東電がその効果を初めて確認した8月以降、地下水の流入量は最大で約130トン減り約270トンの流入にとどまっていることが分かった。東電は、地下水バイパスの効果で約80トン減り、建屋の止水工事でさらに約50トン減ったとみている。