科学者たちは30億年前の火星は地球に似た水が豊富な惑星だったと考えている。そんな火星から大気(二酸化炭素)や水がなぜ消えたのかは、世界の科学界における最大の謎の一つと位置づけられている。
NASAでメイブン計画を担当するブルース・ジャコスキー主任研究員は「今の火星の大気は冷たく乾燥しており、地表には液体の水が安定状態で存在できないが、太古の火星の地表には水が流れていた痕跡がある」と指摘。なぜ過去には存在できた水が今の火星では地表に安定状態で存在できなくなったのかの謎を解く鍵は火星の高層大気にあるとみて、メイブン計画に踏み切った。
地球温暖化防止の糸口
太陽電池パネルを備えた全長約11メートルのメイブンは、これから6週間かけて観測・調査機器の稼働準備や確認作業に入り、その後、約1年間にわたり高層大気に含まれる大気の成分や構成、イオン成分などを分析する。
同時に、火星の大気と太陽風の相互作用や、火星の大気の宇宙空間への流出過程などの解明にも努める。また、火星の高層大気の状況を週1回のペースで地球に送信するという。