一般的なちぎり絵は和紙を使うことが多いが、内田さんはあえて洋紙を使う。和紙をちぎると輪郭が柔らかくなるが、繊維の方向が決まっている洋紙をちぎるとある程度シャープにちぎれるという。細か過ぎてちぎれない箇所だけカッターナイフを使うという。
数週間から1カ月ほどかけて1点を仕上げ、今も毎年数十点のペースで制作する。毎朝5時に起床し、まもなく制作を開始し、日が暮れる頃にはその日の仕事を終えるという規則正しい生活を送る。
≪デザイナー転身 自己流で世界確立≫
4人きょうだいの末っ子に生まれた「ウッちゃん」は小学6年のとき、美術が不得意な担任教諭に代わって同級生に絵を教えるほど絵が得意だった。
横浜高等工業学校(現横浜国立大学)建築学科に進み、フランス建築を専攻。1943年に卒業したが、時代が戦争へと大きくかじを切ったため海軍航空隊に入隊した。しかし、上官から向いていないと辞めさせられ、間もなく終戦を迎えた。