サンゴなどの貴重な生態系は、温室効果ガスによる海洋の酸性化に対して脆弱(ぜいじゃく)だ。オバマ政権は大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が急増して起きる海洋酸性化で、周辺のサンゴの成育に影響が出る事態を懸念しており、海洋保護区の拡大は国連気候変動サミットがニューヨークで開かれているタイミングを狙ったものとなった。
「逆ピラミッド」
この海域に海洋保護区が設定されたのは、米調査隊が2005年にキングマン岩礁で手付かずのサンゴ礁を見つけたのがきっかけだった。
調査隊はサメなどの捕食動物が、この海域ではエサとなる魚より多く生息している「逆バイオマスピラミッド」の状態にあることを発見。報告を受けた当時のジョージ・W・ブッシュ大統領(68)が09年に大統領布告を出し、一連の島や環礁の周囲50マイル(約93キロ)での商業目的での漁業と開発行為を全面禁止したのだ。