山小屋は火山灰に覆われ、鈍く光る。石が落ちてきたのだろう。屋根には車ほどの大きさの穴が何カ所も空き、爆撃を受けたかのよう。山頂の石像は頭部が欠け、鳥居も破損していた。
周囲では自衛隊のヘリ数機が山肌をなめるように飛び、登山客を捜す。「ここにいます!」。無線では、報道ヘリが救助隊のヘリに報告する声も入り乱れた。
午後3時半ごろ、降灰の少ない中腹で、自衛隊のヘリが接近を数回試した後に滞空し、ロープを垂らし始めた。待機していた救助隊数十人は、担架に乗せた登山客をロープにくくりつける。ヘリは登山客を引き上げると、約10分後には、近くのグラウンドまで飛んでいった。(荒船清太、本社チャーターヘリから/SANKEI EXPRESS)