「今ごろどうしているのか。早く見つかってほしい」。長野県木曽町役場にある待機所を訪れた山口市の男性(59)は憔悴(しょうすい)した表情でこう話した。大阪府に住む娘(30)とは噴火以来、連絡がついていないという。
娘は今年1月に結婚し、大阪府内で新婚生活をスタートさせたばかり。5年ほど前から山登りを始め、全国の山に出かけていた。噴火前夜の26日に娘から電話で「明日は登山に行く」と聞かされてはいたが、「頻繁に山に登っていたので、近場だとしか思わなかった」。
27日、テレビで御嶽山の噴火を知った。「まさか違うよな」。だが夕方、娘の夫から「御嶽山に登っている」と電話で告げられた。
何度も娘の携帯電話を鳴らし、いてもたってもいられず、28日に妻らと木曽町に駆けつけた。「山が好きで、でも、まさか噴火するなんて。運が悪かったとしか…」。一刻も早く娘の安否を知りたいが、待機所でもほとんど情報は得られない。「心肺停止の人の身元確認が進むのだろうが、何とか奇跡が起きてほしい」と望みをかけた。