昨年2月。4人組のはずが、ぎこちない風情で3人だけステージに立っていた。演奏後にあいさつに行ったところ、前日の夜、リハーサルを終えて帰宅途中だったギタリスト、タナカヒロキが交通事故に遭い、けがをしてライブができない状態だ、という報告を受けた。事故から丸1日もたっていない生々しく重苦しい楽屋の空気感を今でもはっきりと覚えている。その後のバンド活動やタナカの復帰の見通しなど、その時は全くわからなかった。
数カ月がたち、手の手術を終えリハビリをしているという話は聞いていたが、いつ復帰できるのか、以前と同じようにギターを弾くことができるのか、長く気をもんでいた。
タナカ本人は「そもそも事故直後は手の様子も、もちろんバンド活動の見通しも、何もわからない状態でした。リハビリもどれだけのスピードで回復するのか、担当医も予想できませんでした」と振り返る。