政府は22日、北朝鮮の特別調査委員会による拉致被害者らの再調査に関し、27日から担当者を平壌に派遣すると発表した。
安倍晋三首相(60)は、担当者の派遣決定について、官邸で記者団に対し「調査委の責任者に対し、拉致問題が最重要課題であり、正直に誠実に対応しなければならないと伝えるのが目的だ」と述べた。政府は、北朝鮮の調査委委員長で国家安全保衛部副部長の徐大河(ソ・デハ)氏と面会する方向で調整している。
首相は「調査に直接関わる責任者から、進捗(しんちょく)状況についてしっかり聞く」と強調。「拉致問題は『解決済み』と言ってきた北朝鮮の主張を変えさせ、重い扉をやっと開けさせることができた。派遣しないことで今後、調査を行うことができなくなるリスクを考えた」と説明した。
平壌に派遣するのは、外務省の伊原純一アジア大洋州局長(58)をトップに、拉致問題対策本部、警察庁の職員ら約10人の担当者で、27~30日の日程で行く。伊原氏らは28、29両日に調査委と協議を行い、調査委から再調査の現状について聴取する。
調査団の派遣は、9月29日に中国・瀋陽で行われた日朝外務省局長級協議で北朝鮮の宋日昊(ソン・イルホ)・朝日国交正常化交渉担当大使が伊原氏に提案した。拉致問題をめぐる調査団の訪朝は2004年11月以来、10年ぶり。