吉岡氏は、遡(さかのぼ)る過去があることで、自分が挑戦できる機会を与えられる。しかし、ただ学ぶだけでなく、そこから得たものを作品へ投影することで、未来へと循環させないといけないとも説く。そういった一言一言が、漢方薬のように効いてくる。
草木染の色は、命あるものから自然の恵みをいただいている。吉岡氏の仕事を見ていると、それが命の集合体として生まれ変わる衝撃とともに、繰り返し学び、挑戦する強い信念が時空を貫き、天平の風が布を揺らすのを見た気がした。(写真・文:俳優・クリエイター、京都国立博物館文化大使 井浦新(あらた)/SANKEI EXPRESS)