□映画「マップ・トゥ・ザ・スターズ」
さて、なんと書き綴(つづ)ればいいのだろうか? 本コラム始まって以来の難解な作品を取り上げざるを得ないことに、わたしは少々戸惑っている。
「マップ・トゥ・ザ・スターズ」…直訳すると、「スターへの地図」だそう。この手のハリウッドの内幕を暴いたかに見える作品は、これまでも作られてきた。しかし、わたしにはどうもしっくりこない。
それはおそらく、ハリウッドと日本の芸能界事情がかけ離れているからに他ならない。ハリウッドの芸能界=セレブ。日本の芸能界だったり芝居の世界=けっこう地味。だって、映画に1本主演したからといって田園調布に家を建てることなんて到底できないし、移動車でリムジン使ってる役者なんて数人しか見たことないし、そもそも銃社会のアメリカと日本じゃね。
何もかもしっくりこない
とはいえ、そこはデヴィッド・クローネンバーグ監督(71)がエンターテインメントにまとめつつも、得意の人間の暗部を見事に炙(あぶ)り出しているのだが…。