サイトマップ RSS

自分の中にいるたくさんの他者 「夜の木の下で」著者 湯本香樹実さん (1/4ページ)

2014.12.29 12:55

「夜の木の下で」(湯本香樹実著/新潮社、1300円+税、提供写真)

「夜の木の下で」(湯本香樹実著/新潮社、1300円+税、提供写真)【拡大】

 【本の話をしよう】

 累計160万部の名作『夏の庭-The Friends-』で知られる作家、湯本香樹実(かずみ)さんが作品集『夜の木の下で』を刊行した。少年少女時代の記憶と「いま」が交錯する短編6編が収録されている。

 収録作品は1996年頃から2014年までにかけて執筆されたが、まるで書き下ろし作品のような共通したトーンを持つ。「以前の作品を大幅に書き改めたんです。当時はできなかったことをできて、とても幸せです」

 それは、自身の短編との向き合い方の変化に根ざしているという。「長い作品を書くときは、自分もその世界の中へと潜り込んで一緒に進んでいく。でも、そのやり方だと短編では破綻してしまう。じゃあ、どういう視点を持てばいいのか、と悩んでいました。けれど、ここ10年ぐらいで『時間』というもののとらえ方が自分の中で変わってきたんです。目の前の瞬間瞬間ではなく、時間の積み重ね、つまり時間の『層』の中を生きているのではないかと」

 時間の『層』を生きるとは?

 「一直線に過去から未来へと向かう時間軸の中に私たちは立っているけれど、一人一人の心の中には、その人が経験してきた時間がすべてひとしく存在している。それが心のありようなのではないか。短編も同じで、短いけれど、豊かな時間をはらんでいると思うのです」

名付けられぬ関係が

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。

ページ先頭へ