【メディアと社会】
4月12日に投開票された統一地方選前半戦での戦後最低の投票率が話題となっている。特に若者層の低さについては、「政治的無関心」とか、「おまかせ民主主義」という批判的言葉で片づけられやすく、現にそうした傾向で対策が語られている。米国では同様の危惧がすでに1950年代から学問的対象となり、人々は自分だけがしゃかりきになって社会勉強をして活動しても世の中どうにもならないというある種の徒労感が「合理的無知」として説明されてきた(A.ダウンズ『デモクラシーの経済理論』)。
だが、そうした説明だけで満足していたのでは社会的進歩は止まってしまう。メディア学の立場からいえば、それだけではメディア企業と研究者の責任がどこかへいってしまう。今回はメディアが社会悪をこれでもか、これでもかと報道しているのに、それがなぜ人々の社会参加に結びつかないのかをメディアを巡る事象とその背景から考えておきたい。