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山口小夜子という衣裳の読み方 東京都現代美術館「未来を着る人」展に寄せて 松岡正剛 (2/4ページ)

2015.4.21 16:20

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)

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 小夜子を最初に“見た”のは横須賀功光が撮った資生堂ベネフィークの強烈なモノクローム写真だった。群を抜いていた。ナマを“見た”のは寺山修司の『中国の不思議な役人』、ついでは重延浩が演出した西武劇場の舞台『小夜子』だった。その直後に、ぼくが司会をした前田美波里(びばり)との対談があって、それからはちょくちょく会った。会うたびに次の投企に立ち向かっていることがわかった。山海塾の天児牛大、KARASの勅使川原三郎と出会ったことが大きかったように憶(おも)う。小夜子は身体作法を心身ともに錬磨したかったのだ。

 一方、カメラの前の小夜子は魔法の杖でいくらでも変貌できるセラフィータだった。横須賀功光を筆頭にセルジュ・ルタンスや高木由利子にいたるまで、小夜子はかれらのニューバロックな映像意図を呑んで、無限にウェアラブルになっていった。稀代の「変成女子」(へんじょうじょし)だったのだ。

 黒髪のオカッパを通した小夜子は、意地っぱりで繊細このうえなく、ふだんは引っ込み思案だったのに、いざというときはどんなことにも冒険的になれた。だからこそ茶室もパンクも、太極拳もお稚児さんもDJも、割烹着もブルマーもホモセクシャルも軍服も、隔たりなく好きだったのだろう。でも、無遠慮な男や女が大嫌いで、粗雑な仕草がひしめくところや笑いでごまかす連中からは、すうっと逃げ出していた。

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