古代様式の船で大海を渡る。インドネシアから日本へ。約4700キロメートル。冒険の旅を記録した映画「縄文号とパクール号の航海」(水本博之監督)。ポレポレ東中野(東京都中野区、上映は5月15日まで)で観た。小さな地下の映画館は満席となった。
探検家、関野吉晴さん(66)が企てた。古代の船旅を再現する。千葉県九十九里浜で砂鉄を採集した。タタラで鉄を作る。おのを製作。インドネシアの密林に分け入り、大木を切り倒す。船を作った。エンジンはない。風と人力で進む。「縄文号」と命名された。
日本人とインドネシアの海の民、マンダール人の乗組員10人が結集した。2009年4月、縄文号と伴走するパクール号が出航した。縄文号は遅い。なかなか進まない。初日、前進できたのはわずか8キロメートル。歩く方が速い。果たして日本にたどりつけるのか。乗組員の胸に不安がよぎる。
長い船旅。乗組員の居住空間は縄文号が4畳半、パクール号が6畳程度。言語、宗教、食生活などが異なる男たち。摩擦が生じる。