毎年3月、東大寺二月堂で行われる「お水取り」。正式には「修二会(しゅにえ)」と呼ばれ、十一面観音に過ちを悔い、その功徳(くどく)によって万人の除災招福を祈る法会(ほうえ)を指す。
「お水取り」と聞けばまず、大松明(おおたいまつ)が、登廊を経て二月堂の欄干上に姿を現し、火の玉となった松明が通り抜ける風景を思い出す。今年3月12~14日に「修二会」の一部に触れる機会に恵まれた。荘厳かつ幻想的な風景の背後にある1カ月近くにおよぶ法会の存在を実感することができた。
「修二会」の始まりは、大仏開眼(かいげん)の年にあたる752(天平勝宝4)年、東大寺の開山、良弁僧正の高弟であった実忠和尚(じっちゅうかしょう)が始めたものとうかがい、長い時間の連なりに驚く。この「修二会」の一部として、「お水取り」は始まった。