3月だというのに最高気温は25度を超え、照りつける太陽が否が応でも気分を高揚させる。
ディープ・サウスと呼ばれる米ルイジアナ州の最大都市で、約38万人が暮らすニューオーリンズ。数々の映画、小説の舞台となってきたこの街の歴史は、1718年にフランス人が入植したことから始まる。22年にはフランス領ルイジアナの首府に。その後スペイン領となるも、再びフランスへ返還。1803年、財政上の理由から皇帝ナポレオンによってアメリカへわずか1500万ドルで売却され、ルイジアナはアメリカ合衆国18番目の州になった。
宗主国の変遷を経た結果、ニューオーリンズにはヨーロッパ、アフリカ、カリブ諸国の文化が混在し、フレンチ・クオーターと呼ばれる旧市街には、現在もフランス・スペイン植民地時代の雰囲気が色濃く残る。バルコニーを飾る繊細な鉄の装飾「アイアンレース」。通りを照らすアンティークなガス灯。馬車馬が闊歩(かっぽ)するひづめの音。「アメリカで最も異国情緒が漂う街」とされ、そのユニークな歴史的背景から、年間900万人を超える観光客が訪れる全米有数の観光都市となった。