国連本部で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議のタウス・フェルキ議長(アルジェリアの女性外交官)は閉幕日の22日未明(日本時間22日午後)、最終文書案を各国に提示した。被爆地の広島、長崎への訪問を世界の指導者に促す文言が削除されている。また、核兵器の非人道性をめぐる記述が目立つ一方、核軍縮の促進手段となる「核兵器禁止条約」の記述が削除された。内容には核保有国、非核保有国がそれぞれ不満を表明しており、文書採択は困難な情勢となっている。
「被爆地訪問」は日本が実現を目指したが、中国の反対で原案から削除されていた。日本は中国と折衝を重ねて文言復活を要請したが、中国は妥協せず、「核兵器の影響を受けた人々や共同体の経験を直接共有するよう促す」との表現で決着が付いた。文書案はまた、「核兵器禁止条約」の記述を削除する一方、法規制を含む核軍縮の「効果的措置」を検討する作業部会を国連総会に設置するよう勧告。核保有国に対しては、核弾頭の数や具体的種類などを明示することの重要性を考慮しつつ、核軍縮の状況を定期的に報告することを求めた。