中国国防省と人民解放軍は26日、2年ぶりの国防白書「中国の軍事戦略」を発表した。「中国の領土主権と海洋権益に対する挑発行為が発生している」との認識を示し、中国による岩礁埋め立てで米国などとの緊張が高まる南シナ海情勢を念頭に「海上での軍事衝突に備える」との方針を表明した。
また日本を名指しして「戦後レジーム(体制)からの脱却を積極的に追求し、安全保障政策を大規模に転換している」と指摘、安倍政権が進める集団的自衛権行使容認など一連の安全保障政策を牽制(けんせい)した。
中国国防省が正式に海上での軍事衝突に言及するのは初めて。中国が人工島の「領海」と主張する12カイリ(約22キロ)内の海域や上空に、米軍の航空機や艦船を進入させる意向を表明しているオバマ政権に強い不満を示した。
習近平指導部は中国主導によるアジアの新たな安全保障秩序構築を目指しており、日米同盟強化への警戒感を明確に打ち出した形となった。
白書は「(アジア)域外の国家が南シナ海(の問題)に介入し、中国に対して頻繁に近距離からの偵察行為を繰り返している」と指摘した。