≪当事者意識低い機構、20日間有効策打てず≫
年金個人情報が外部流出した事件で、機構が最初のウイルスメール後に職員に注意喚起した際、タイトルなどの具体例を知らせなかったことが2日、機構幹部への取材で分かった。その後、別の職員が新たにウイルス感染した添付ファイルを開封するなど、把握から20日間、有効策を打てなかった。専門家や関係者からは当事者意識の低さを指摘する声も上がる。
厚生労働省や機構によると、ウイルスメールは5月8~18日、大量に届き、少なくとも2人の職員が開封。1回目は8日、九州ブロック本部(福岡市)の職員が「『厚生年金基金制度の見直しについて(試案)』に関する意見」とタイトル名のついたメールのファイルを開けた。タイトルは、厚労省年金局が厚労省のサイトに2013年2月8日付で出した文書の見出しと同じで、職員を誤信させる目的だったとみられる。
外部からの指摘を受けた機構は5月8日、全職員に対しメールや職員用の掲示で注意を呼びかけた。だが、機構幹部によると、この際「不審なメールには注意するように」と呼びかけるだけで、タイトル名や内容、ファイル名などの具体例は記載しなかったという。