【本の話をしよう】
東京の下町で古書店を営む堀田家。元カリスマロッカーの我南人(がなと)をはじめ、個性的な大家族のもとには次々と不思議な事件が舞い込む-。
小路幸也(しょうじ・ゆきや)さん(54)による連作短編シリーズ「東京バンドワゴン」第10弾『ヒア・カムズ・ザ・サン』が刊行された。10年目に突入してなお、確かな支持を得続ける現代のホームドラマだ。
ホームドラマの世界
「まさか10年続くとは思いもしなかったですね」。自身の代表作であるシリーズ誕生のきっかけを、こう振り返る。「当時は売れない作家で…(笑)。編集者から、『明るい話を書きましょう』と言われて、『だったらホームドラマかな』と。テレビドラマ『寺内貫太郎一家』みたいな、下町の大家族。頑固オヤジと息子、きれいなお姉さんや一風変わったご近所さんがいて…。小さいときからテレビで見てきたホームドラマの世界を、そのまま小説に書いてみるのもいいかもしれないと」