【国際情勢分析】
中国の国有企業が、ロシアの首都、モスクワとタタルスタン共和国の首都、カザンを結ぶ高速鉄道の建設プロジェクトを落札したことが6月下旬に発表された。近年、高速鉄道の海外輸出を熱心に推進する中国にとって、初めての大型契約であり、中国の官製メディアはそろって拍手喝采している。
プロジェクトは中国が主な技術と資金を提供し、ロシアが支援を受ける形で進められるといい、将来的にカザンから北京までの延長も視野に入れている。ウクライナ問題で欧米や日本と関係が悪化したロシアが、経済面で中国に頼る傾向が一層鮮明になったといえる。
中国企業が初の大型落札
中国国営中央テレビ(CCTV)によれば、中国の国有企業、中鉄二院工程集団が受注したモスクワからカザンまでの高速鉄道は約800キロ。現在の一般鉄道での所要時間は約13時間だが、高速鉄道では3時間強に短縮。2018年に開かれるサッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会の開幕前に、正式運転の開始を目指しているという。