14日、オーストリアの首都ウィーンで行われていたイランと6カ国(米英仏独中露)の外相会合で、イランの核開発問題をめぐる最終合意が得られた。
15日、ホワイトハウスでの記者会見において米国のオバマ大統領は、<イラン核協議の最終合意は「米国の強力な指導力と外交を象徴するものだ」と指摘した。大統領は「合意がなければ中東を戦争と、他国による核開発計画の追求、核兵器開発競争の危険にさらした」と述べ、改めて合意の意義を強調した>(7月16日「産経ニュース」)。13年にわたる懸案が解決したと、米国は成果を強調するが、事態はそれほど楽観できない。
遠心分離器の全廃ならず
現在、イランは約1万9000基のウラン濃縮のための遠心分離器を持っているが、それを全廃することにはならない。10年後も6104基の遠心分離器が残る。また、地下にある核開発工場も研究機関として存続することになった。偵察衛星では、地下研究所でひそかに核開発が行われていても、その事実を知ることができない。これならば、イランは、1年で広島型原爆を製造することができる。さらに、イランの軍事施設に対する査察は、回数が制限されることになる。イランは核開発に向けた強い国家意思を持っている。今回の合意で、イランがその気になれば、1年で核兵器を保有することができるという枠組みができたと見るのが現実的だ。イラン外交の大勝利だ。