劇場映画デビュー作『鉄男 TETSUO』(1989年)から常にアバンギャルドな作風で世界中にファンをもつ塚本晋也監督が、フィリピン・レイテ島での過酷な戦争体験をつづった大岡昇平の小説『野火』を同名で映画化。渋谷ユーロスペースほかで全国順次公開中だ。
自ら主演もつとめた塚本監督は、悲惨なものは悲惨なままに、残虐なものは残虐なままに、グロテスクなものはグロテスクなままに、醜いものは醜いままに、余分な情緒を排除して、戦場の現実を圧倒的な表現力で刻々と描写した。強いインパクトのある作品だ。(一般社団法人「Get in touch」編集部/SANKEI EXPRESS)