【国際情勢分析】
南シナ海で埋め立てを進める中国に国際社会の批判が高まるなか、中国と同様の領有権を主張する台湾の馬英九総統(65)が存在感の維持に腐心している。国際法の順守や紛争の平和的解決を繰り返し訴えて米国に秋波を送り、紛争当事者としての地位を確立したいという思惑がある。だが、中国の顔色をうかがう東南アジア諸国だけでなく、肝心の米国でも表面的な支持にとどまり、馬総統の努力は空回り気味だ。
「優等生」をアピール
馬総統は25日、日米の識者を招いた台北市内のシンポジウムで講演し、今年5月に発表した「南シナ海平和イニシアチブ」の意義を訴えた。台湾は中国同様、南シナ海の大部分を覆うように引いた「九段線」を基に領有権を主張しているが、馬総統は、台湾の主張は九段線内の島嶼(とうしょ)とその「周辺水域」に限られると強調。「緊張を高める一方的な措置」を避けるべきだとして間接的に中国の埋め立てを批判し、紛争の平和的解決や、米国が特に重視している「海・空域の航行の自由」の重要性を訴えた。