ロシア紙によると、バイカル湖を最大の観光資源とするイルクーツク州の昨年の外国人観光客は前年比約86%増の約15万人。増加分の多くは中国人だ。研究所のグラチェフ所長も「人間の活動で湖が富栄養化している」と危機感を募らせる。
湖畔の村リストビャンカにはホテルや飲食店が並ぶ。対岸の湖東岸などでも開発が進んでおり、環境活動家のネフロゾフ氏は「近年参入した中小企業のリゾート施設では、下水や廃棄物対策がなされていない場所が多い」と指摘する。
現地を訪れた滋賀県立琵琶湖博物館(草津市)の桑原雅之総括学芸員は、バイカル湖の貴重な生態系は「高緯度で貧栄養」という特殊な環境が支えていると説明する。琵琶湖博物館はリストビャンカのバイカル博物館と協力協定を結んでいる。
下水処理設備ない施設閉鎖へ
桑原氏によると、バイカル湖は寒冷地で水量が巨大なため水温が上がりにくく、藻などの繁殖が抑えられてきた。湖の深い部分にまで酸素が届いて深層でも生物が生息することができ、固有種発生につながった。