長崎港(長崎市)から西へ約100キロ、高速フェリーで1時間半、五島列島・福江(ふくえ)島(長崎県五島市)の福江港に着いた。福江島、久賀(ひさか)島、奈留(なる)島、若松島、中通(なかどおり)島、小値賀(おじか)島など大小合わせておよそ150ほどの島からなる五島列島は総面積は660平方キロ、人口約6万人。古くは遣唐使の最終寄港地として栄え、真っ青な海と約50のカトリック教会が点在する美しい国境の島だ。
さまざまな文化や風習を受け入れてきた歴史のせいか、島民には観光客などを快く迎え入れる開放的な気質があるように感じた。
一方で、水産業も農業においても資源豊かな国境の島には、気になる隣国との関係がつきまとう。2010(平成22)年、福江島沖の無人島、包丁島がインターネットで売りに出された。同じく福江島沖の姫島にも中国資本から買収に向けての接触があったという。いずれも何らかの理由で実現はしなかったが、隣国からの触手は確実に迫っている。五島市防衛協会理事の山口要蔵さん(62)によると「あるルートで中国人が、漁港で取引されない魚を全て買い取りたい、という話や木材を全て、また山林ごと買いたい」など島の資源を求める話があったという。