黒木渚のニューアルバム「自由律」が発売になった。以前、SANKEI EXPRESS紙面でも取り上げたが、今作はさらにパワーアップ。持ち味の表現力に加え、アレンジの幅広さ、演奏家らによる迫力ある感覚的な音源など、彼女の魅力がしっかりと伝わるアルバムにできあがったと感じる。
新作の制作に当たって黒木は「積み上げてきた“自分ルール”などを一旦全て忘れて、自由なモノづくりに立ち返ろうと思った」という。アーティスト像は、キャリアを重ねるにつれできあがっていく。しかし、「黒木渚はこうあるべきだ、という思い込みに縛られていては、進んでいけないだろうと思った」と語るように、本作を聴くと、新しい曲を作るうえで、風通しが悪くなることから、自らを解き放とうという意気込みがうかがえる。
スチールパンなど新しい楽器の音を用いたり、シンセサイザーや打ち込みなど電子的なアレンジを取り入れたりしたところに、自由な音楽を制作するスタンスが色濃く反映されている。黒木が「歌詞とメロディーさえ骨太に作れていれば、アレンジやサウンドにも寛大に取り組めます」と話す通り、曲の世界観に合わせた、広がりのあるサウンドアレンジを楽しむことができる。