国ごとに異なる原産地表示
水産品では太平洋クロマグロやミナミマグロなどがゼロになり、16年目にはアジやサバも対象に加わる。輸入食材を数多く使っている外食チェーンでメニューの値下げが本格化することも予想され、家計への恩恵が拡大しそうだ。
ただ海外では原産地表示や食品添加物のルールが国ごとに異なっており、情報不足で安全性への不安が広がりやすい懸念がある。また、円安が進めば輸入価格が上がり、関税撤廃による効果が薄れてしまう。世界的な干魃(かんばつ)や異常気象で不作になれば、一時的に価格が高騰する恐れもある。家畜の疫病が発生した場合も影響が懸念される。
TPPが中長期的に効果を発揮するには、輸入された食品が日本の家庭の食卓に定着し、安定的に売れ続けることが欠かせない。だが現状では、日本の消費者は「産地や味が確かな国産品を選んで買う傾向が強い」(大手スーパー担当者)とされる。価格面の利点だけでなく、品質への理解がどれだけ進むかが鍵を握っている。(SANKEI EXPRESS)