フランス人の父は舞台監督、ポーランド人の母は女優-。幼少時から国際色豊かな環境で過ごし、俳優とはどんな職業で、演じるとはどういうことなのかを考える機会は多かった。そんなジュリエット・ビノシュ(51)が自ら「女優になろう」と決心したのは14歳のとき。フランスを代表する名女優は、精神的にかなり成熟した少女であったことがうかがえる。
人生の目的与えられた
「子供の頃にも演じる機会はあり、その経験は私にたくさんの喜びを与えてくれました。また、ピーター・ブルック演出の舞台『ユビュ王』を鑑賞していたとき、14歳の私は突然気づいたんです。一つの物語が、鑑賞者にどれほどの一体感をもたらし、その人の人生にとって大切なことを感じ取らせることができるのかということに。その夜、私はスタンディングオベーションしながら、これこそ私が人生で欲していたことであり、経験してきた喜びと同じものだとはっきり理解しました。私は人生の目的を与えてもらったのです」。ビノシュはSANKEI EXPRESSのメール取材に応じ、女優を志すようになった原点といえるエピソードを明かしてくれた。