【Viva!ヨーロッパ】
晩秋のモスクワ。歴史を感じさせる芸術図書館のホールに日本語の歌詞が響き渡った。歌うのはロシアの子供たち。和服姿で童謡「ふるさと」を歌ったリーザさん(15)は、「観客の皆さんには、皆“ふるさと”について何かを感じてほしい。そして家族や親、彼らへの愛について思い返してほしい」と語った。
子供たちが雪遊びを表現しながら歌った「雪」。松尾芭蕉の俳句とロシア人作曲家の曲による組曲。天井に水墨画を映しながら、子供たちが演じる「動物の謝肉祭」など、演目は多岐にわたった。開演前、外の階段では、水墨画を手にした子供たちが観客らを出迎えていた。
公立校がコンサート
「ロシアと日本を芸術で紡ぐ」とのテーマで、10月末に行われたモスクワ第2030番学校によるコンサート「結(ゆい)」の光景だ。前身となるコンサートを含め、2010年からほぼ毎年開催されている。会場には保護者のほか日本人関係者、アニメのコスプレをしたロシアの子供も来ていた。
2030番学校は小中高一貫の公立校で、音楽を専門とした私立学校ではない。その公立校が日本を題材にしたコンサートまで開くことになったのには、いくつかのきっかけがあった。