青木涼子の肩書は、能アーティスト。能楽師ではなく、あまり聞き慣れない。能と、細川俊夫やエトベシュら現代音楽作曲家の作品とコラボレーションを行い、能楽の枠を超えて活動している。その活動は、能面を持った写真を見てもらえば、何となく想像できるだろう。
しかし、青木は14歳から能の稽古をはじめ、東京芸大音楽学部邦楽科能楽専攻(観世流シテ方専攻)では観世流の重鎮、野村四郎に師事。きちんと能楽師の稽古を重ねてきた。
「2007年に作曲家、湯浅譲二さんの、謡(うたい)とアンサンブルの作品『雪は降る』で謡わせてもらいました。それまで現代音楽に舞をつけることはよくやっていましたが、湯浅さんの曲に出合い、何か挑戦してみる価値があると思ったのです」