バラク・オバマ米大統領(54)は6日、カナダのオイルサンド(油砂)から採取された原油を米国に運ぶパイプライン「キーストーンXL」の建設許可申請を却下すると発表した。このパイプラインはオバマ氏が大統領就任直後から7年以上建設許可を棚上げしてきた曰(いわ)く付きの案件。国務省はパイプラインの建設は環境への悪影響はないとしてきたが、オバマ氏はその判断を振り切って、11月末にパリで開幕する国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)を前に国際社会での指導力のアピールを優先させた形だ。ただし米国内では建設を推進してきた共和党が反発を強めており、建設への賛否は2016年の大統領選の争点として残り続けそうだ。
国務省の判断退ける
パイプラインはカナダのエネルギー関連企業「トランス・カナダ」が08年9月に建設許可を申請。エネルギー産業や雇用創出を期待する共和党が建設を推進してきた。しかし09年1月に就任したオバマ氏は認可の是非の判断を7年以上も下さなかった。支持基盤である環境保護派が、オイルサンドが採掘時に温室効果ガスを多く排出することやパイプラインからの原油漏出などへの懸念を理由に強く反対してきたためだ。