昨秋の東京国際映画祭のコンペティション部門で最高賞(東京グランプリ)と最優秀監督賞をもたらしたのが本作「神様なんかくそくらえ」だ。監督を務めた米国のジョシュア、ベニー・サフディ兄弟は、ニューヨークで路上生活を送る、ドラッグに溺れた若者たちに肉薄し、その刹那的な生き方を鮮烈に描ききった。
主人公の少女を務めた新人、アリエル・ホームズの実体験をベースに本作が作られた点に、まず見る者は驚かされるだろう。サフディ兄弟に口説かれ、本作で女優デビューを果たしたホームズのわずか2~3年前の生活といえば、ナイトクラブでSM嬢を務めたり、物乞いをしたりすることによって生計を立て、路上で雨露をしのぐという実にすさんだものだった。
プロモーションで来日し、共同で脚本も手がけたジョシュア監督はSANKEI EXPRESSの取材に対し、「初めてホームズと出会ったときは、ただただ驚嘆しました。でも同時に彼女は独特の美しさも兼ね備えた女性だとも気づきました。私はもっと彼女のことを知りたくなり、取材を重ね、友達となりました」と映画化の端緒を語った。