では、ドゥヴォスはヴィオレットをどのような女性と捉えたのだろう。「彼女の人格は、母親との関係によって形成されたところがありますね。家政婦だった母親は私生児という形でヴィオレットを産みました。母親は1つの“過ち”を犯したわけです。そんな母親の過ちに対する批判を全力で体現したのがヴィオレットなのです」
本作で、望まぬ妊娠だったのになぜ生んだのか-とヴィオレットが母親(カトリーヌ・イジェル)に怒りをぶつけるシーンは圧巻だ。「とても感情的に演じたシーンだったし、撮影では特別な集中力が必要でした。イジェルは舞台女優の大御所だから演技にパワーがあるので、結果的に撮影はとてもうまくいきました。私たちはとても自然な感じで演技することができました。そのシーンを撮った時点でクランクインから1カ月余り経過していたので、イジェルも私も役の中にどっぷりと入っていたことも奏功したと思います」。ドゥヴォスは満足そうに答えた。