今年のフランス映画祭で団長も務めたエマニュエル・ドゥヴォスさん=2015年6月27日、東京都千代田区(荻窪佳撮影)【拡大】
共演者を「発見」
本作で、本人のルックスとはかけ離れたキベルランをボーヴォワール役に推したのは、他ならぬドゥヴォスだった。なぜドゥヴォスはキベルランに白羽の矢を立てたのだろう。
「プロヴォ監督はいろんな女優たちに会っては出演オファーを断られ、頭を抱えていた時期がありました。ちょうどその頃、私は別の作品でサンドリーヌと共演していて、撮影をこなしていました。メーキャップ室でサンドリーヌを見たとき、こう思ったのです。立ち居振る舞いに加え、そもそも彼女はボーヴォワールのように聡明(そうめい)な人でもありますから、こなせるのではないかとね。実際、サンドリーヌは役作りが得意な方ですよ。自分とかけ離れた人物であってもかなり作り込める女優です。私は彼女に『ボーヴォワールをやりたくない?』と尋ねると、『Why not?』といったノリノリの調子だったので、監督に伝え、役が決まったのです」