【アートクルーズ】
ヨハネス・フェルメール(1632~75年)とレンブラント・ファン・レイン(1606~69年)という17世紀オランダ絵画を代表する巨匠2人が、日本初公開の作品「水差しを持つ女」と「ベローナ」で、“光”と“闇”の美を競っている。森アーツセンターギャラリー(東京・六本木)で開かれている展覧会「フェルメールとレンブラント」にはほかに風景画や海洋画、建築画など同時代の別の画家の作品も展示されており、商業の繁栄のもと、市民の求めで多様なジャンルの絵画が花開いたことを改めて知ることになる。
対照的な作風
フェルメールの「水差しを持つ女」の第一印象は「小さい」。まさに部屋の片隅に飾っておきたい愛らしい小品だ。
早朝、女性が窓を開けて外気を取り入れながら、洗顔のために水差しでたらいに水をためるシーンだろうか。白い麻のスカーフは陽光で透け、伸ばした両手と、わずかに傾けた体の曲線が優しいバランスを生んで、静謐(せいひつ)だ。