【国際情勢分析】
台湾の野党、民主進歩党の蔡英文主席(59)は16日投開票の総統選で当選を果たした。最大の焦点だった対中政策で、蔡氏は「両岸(中台)関係の現状維持」を主張。「一つの中国」原則の受け入れを迫る中国側の要求に、応じるかどうかを曖昧にする戦略で乗り切った。問題はそれで「現状」が維持できるのかどうか。中台の攻防に注目が集まる。
争点は「一つの中国」
今回の総統選で焦点となったのは、蔡氏が1992年に中台間で「一つの中国」を認め合ったとされる「92年コンセンサス(合意)」を受け入れるかどうかだった。
合意内容に関する文書が存在せず、暗黙の了解のようなこの合意は、それ自体が曖昧で、台湾内部で論争を呼んできた。だが、野党時代の中国国民党は「台湾独立」に反対する姿勢を強調して中国共産党と接近する手段として積極的に活用。2008年に政権を奪還した馬英九総統(65)も同じ手法を取った。だが、「台湾独立」を綱領に掲げる民進党は、「一つの中国」を受け入れず、合意の存在を認めていない。