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「別様の可能性」を書いた天性の語り部 ガルシア・マルケスの魔術的コンティンジェンシー 松岡正剛 (1/5ページ)

2016.2.7 11:00

 【BOOKWARE】

 さあ、ガルシア・マルケスだ。愛称ガボという。先だって87歳で亡くなったが、その直前に書いた『わが悲しき娼婦たちの思い出』では「高齢の快楽」を何とも愉快にむにゃむにゃ語っていて、あいかわらずのガボの達者を感じさせ、多少の高齢化を迎えつつあるぼくを大いに頷かせてくれた。

 マルケスは1928年のコロンビアに生まれた。ただし首都ボゴタのようなスペインの政治文化が集約した都市ではなく、カリブ海に面した2000人ほどの寒村に生まれ育ったので、ずうっと貧乏で、ずうっと不足を感じていた。しかしそのぶん青少年期にジョイス、カフカ、フォークナー、セルバンテスに始まる目ぼしい文学の大半に溺れた。これらの体験がガボの天性の語り部の才能を育んだと思われる。マルケスはどんな出来事からも好きな物語を紡ぎ出せるようになっていたのだ。このことを「僕の創作の秘密はつねに別様の可能性を信じ続けてきたことにあった」と述懐している。

「別様の可能性」 認知社会学で「コンティンジェンシー」という

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