ただ、観測衛星として機能しているかは不明だ。的川氏は「撮影した写真や電波が届いているのか、はっきりしない。地球観測衛星としては高度も低く、日米などと比べると非常に初歩的なもの」とみる。
人工衛星とミサイルは目的は異なるが、基礎技術は共通している。今回のケースでは、荷物を積んだ3段目のエンジンに着火して分離し、軌道投入すれば人工衛星となり、着火せずに大気圏に再突入させ、弾道軌道を描いて目標地点に落とせばミサイルになる。両者はいわば表裏一体であり、国際社会が明確な国連安保理決議違反と非難する理由はここにある。
「核弾頭の断熱」困難
2012年に続いて2度目の「衛星」に成功し、技術力を誇示した北朝鮮。ミサイル開発への脅威は高まっているが、開発のハードルは高いと元防衛庁技術研究本部第3研究所長の久保田浪之介氏は話す。「弾道ミサイルは、大気圏に再突入させて核弾頭を落とすターミナルフェーズと呼ばれる最終段階がある。その技術を北朝鮮が確立するのは難しい」