日本医師会と産経新聞社が主催する今年の「赤ひげ大賞」授賞式が1月末に都内の帝国ホテルで行われ、訪問医療や在宅医療に尽力した5人の医師が選ばれた。
受賞者の一人、岐阜県高山市にある診療所所長の土川権三郎医師は午前は外来、午後は往診の毎日。高齢化が進む中、地域のケアマネジャーや看護師、老人介護施設職員らと毎週ミーティングを重ね、患者一人一人のオーダーメード医療の実現を目指しているという。今回で4回目を数える赤ひげ大賞受賞者の地域医療実践例からは地域包括医療がようやく日本でも定着しつつあることがうかがえる。
地域包括医療という概念が生まれたのは1978年に遡(さかのぼ)る。世界保健機関(WHO)とユニセフ(国連児童基金)が共催して、旧ソ連(現カザフスタン)のアルマアタで国際会議を開催しアルマアタ宣言が採択された。この宣言は「プライマリーヘルスケア」を内容とするもので、「地域社会に根差した方法と資源で、住民自らが参加した保険医療システムを作ることを目指す」ことをうたった。