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「紙から電子へ」未来を暗示?

2016.2.14 00:00

ロンドンの街頭の新聞販売棚に置かれた12日付のインディペンデント紙(左下)。唯一、1面で重力波の観測を報じている。この屈指の高級紙も、来月で棚から姿を消すことになった(AP)

ロンドンの街頭の新聞販売棚に置かれた12日付のインディペンデント紙(左下)。唯一、1面で重力波の観測を報じている。この屈指の高級紙も、来月で棚から姿を消すことになった(AP)【拡大】

  • SANKEI_EXPRESS__2016(平成28)年2月14日付EX(1面)

 英高級紙「インディペンデント」は12日、紙の新聞の発行を3月でやめ、デジタル版(電子版)だけに完全移行すると発表した。3月26日が紙媒体として最後の発行になる見込み。インディペンデント(独立)という名が示す通り、保守、労働の二大政党から距離を置く不偏不党のメディアとして存在感を示し、一時は英高級紙市場で最大の発行部数を誇ったが、最近は盛時の8分の1にまで部数が減っていた。英メディア界は「業界の先行指標」とも称されており、世界でも屈指の影響力を持つ有力紙の「廃刊」は大きな衝撃を持って受け止められている。

 ■支局新設、報道部門強化へ

 英BBC放送などによると、インディペンデントを発行するESIメディアのロシア人オーナー、エフゲニー・レベジェフ氏(35)は「新聞業界は変化を続けている。この変化は読者によってもたらされたもので、読者は私たちに未来はデジタルだと示している」とコメント。今後はデジタル版に特化し、アクセス数を増やすため欧州や中東、アジアに支局を新設して報道部門の強化を図るほか、米国での営業体制を強化する方針を示した。

 ■ピーク42万部→現在5万部

 インディペンデントは1986年10月創刊の英国でも比較的新しい朝刊紙。当時、英国の新聞業界は各紙とも買収問題や経営権のもつれで揺れており、こうした混乱を嫌って大手新聞社を飛び出した気骨のある名記者たちが集結して創刊にこぎ着けたのだった。初代東京特派員には、日本語と日本文化に精通し、日本外国特派員協会会長も兼務することになるカナダ人記者、アンドリュー・ホルバート氏(69)を着任させるなど、日本報道でも出色さを誇っていた。

 紙面の質で部数を伸ばし、ピークの90年には42万8000部まで達したが、営業面が弱く、やがてインターネットの普及や価格競争が経営を圧迫。2004年に英高級紙として初めてタブロイド判に移行し、昨年12月の部数は5万6000部にまで落ちていた。

 この間、10年には年200万ポンド(約36億円)の赤字に陥っていたインディペンデントの債務を引き受けるという条件でロシアの富豪、アレクサンドル・レベジェフ氏(56)=エフゲニー氏の父=が1ポンドで買収した。一方で、インディペンデントのデジタル部門は好調で、過去1年間、月33%の伸びを記録し、現在、世界で約7000万人が読んでいるという。

 ■「紙媒体の全国紙消える」

 経営権の移行や新規参入の規制が緩く、常に世界経済の潮流の影響を受けやすい英メディア界は、激変の継続を特徴とし、世界のメディア界の「明日の姿」とよく言われる。最近でも、国営放送では異例ともいえるBBC放送の1000人以上のリストラや、日本経済新聞社による英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の買収などがニュースとなった。

 インディペンデントとはライバル関係にある英高級紙ガーディアンのサイトで、ジャーナリズムが専門の英キングストン大学教授、ブライアン・キャシュカート氏(59)は「インディペンデントの明日の姿は、ガーディアンやFTの10~15年後の姿だ。そして、やがて英国から紙媒体としての全国紙は姿を消していくだろう」と指摘した。

 インディペンデント創立メンバーの一人だったステファン・グローバー氏(64)はBBCに「寂しいことだが、この新聞で働けた誇りは不滅だ。デジタル版に完全移行した際、同じ数の記者の雇用が守れるのか、それが心配だ」と語った。

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