【BOOKWARE】
しばしば惰眠を貪りかねないぼくの青春期を突き刺した海外の前衛力に、エイゼンシュテインのモノクローム映画、エル・リシツキーの強度縦横のデザイン、マレーヴィチの絶対無を問うようなシュプレマティスムの絵画があった。いずれも大胆で鋭く、日本の60年代のアングラ性を一掃するような革命的なヴィジュアル・メッセージをもっていた。やがてそれらがカンディンスキー・シャガールの「青い騎士」や構成主義、タトリンの天外の建築デザイン、ロトチェンコの凄いタイポグラフィなどを含む「ロシア・アヴァンギャルド」という鮮烈なムーブメントだということが見えてきた。
20世紀初頭、ヨーロッパではすでにキュビズム、ダダ、未来派などがおこって、時代のアート感覚は無意識を取り出すシュルレアリスムのような活動に移りつつあった。このとき北方でプロレタリアートを主語とするロシア革命が連打され、世界の眠りを覚ますようなアートムーブメントが繰り出されたのである。それがロシア・アヴァンギャルドだった。衝撃的だった。