エックス線天文衛星「アストロH」を搭載したH2Aロケット30号機が17日午後5時45分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。衛星は6時頃、予定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。開発した宇宙航空研究開発機構(JAXA)は衛星を「ひとみ」と命名した。
ひとみは昨年8月に観測を終えた「すざく」の後継機。ブラックホールや銀河団から放出されるエックス線などを高感度でとらえ、宇宙の成り立ちや新たな物理法則の謎に迫る。エックス線は電磁波の一種で、可視光と比べ波長が1000分の1以下と短い。数億度の超高温や高エネルギーの天体現象で放出され、光では見えない極限状態の宇宙の姿を探れる。
ひとみは、JAXAが米航空宇宙局(NASA)などと共同で開発。名古屋大などの超小型衛星3基も相乗りして打ち上げられた。
「お家芸」でリード期待
宇宙を見つめるエックス線天文衛星は、かつて日本の「お家芸」とされたが、一時は失敗やトラブルが続いていた。JAXAが打ち上げた「ひとみ」の本格観測が始まれば、再び世界をリードする研究成果が期待できそうだ。