周辺国必死の説得
欧州各国は離脱を食い止めようと必死だ。域内第2の経済大国で国連安全保障理事会の常任理事国である英国の離脱は、EUの権威も損ないかねない。ドイツのアンゲラ・メルケル首相(61)は「離脱回避はドイツの国家的利益だ」と強調。フランスのマニュエル・バルス首相(53)は「離脱の衝撃は計り知れない」と警戒する。
英調査機関「ロード・アシュクロフト」が1~2月に欧州の約2万8000人に聞いた調査では、60%が英国の残留を希望、離脱の10%を圧倒した。米国のバラク・オバマ大統領(54)も昨年6月、ドイツ訪問中に「英国のEU残留を期待する」と語った。今春訪英し、英国民に残留を訴えるとの観測もある。
議論は決着せず?
英国がEUの前身の欧州共同体(EC)に加盟したのは1973年。その2年後には残留の是非を問う国民投票を実施した。欧州との距離感は古くて新しい問題だ。残留を望むキャメロン氏が国民投票実施を表明したのは、いつまでもくすぶる離脱論に業を煮やし、論争を決着させることを狙った面もある。
だが英紙タイムズによると、欧州委員会委員も務めた英労働党のニール・キノック元党首(73)は、こうしたもくろみを「誤りだ」と指摘。国民投票で残留が決まっても、火種は引き続き残るとの見方を示した。(共同/SANKEI EXPRESS)