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震災を乗り越えるため、書くしかなかった 「バラカ」著者 桐野夏生さん (3/5ページ)

2016.3.6 14:00

あらゆるニュースに反応する旺盛な好奇心。「面白い世の中ですよね」=2016年2月29日、東京都千代田区(宮崎瑞穂撮影)

あらゆるニュースに反応する旺盛な好奇心。「面白い世の中ですよね」=2016年2月29日、東京都千代田区(宮崎瑞穂撮影)【拡大】

  • さまざまな国からの移民が暮らす「ありえたかもしれない日本」。「異文化の衝突が好きなんです」=2016年2月29日、東京都千代田区(宮崎瑞穂撮影)
  • 「バラカ」(桐野夏生著/集英社、1850円+税、提供写真)

 「ありえたかも」な世界

 前半は、震災が起きる前の世界が描かれる。結婚と出産、自身のキャリアという選択肢を前に焦燥を募らせる沙羅と優子。二人とかつて関係を持ったことがあり、葬祭業者として再び彼女たちの前に現れた男・川島。さらには「バラカ」の実の父親である日系ブラジル人のパウロ、日系ブラジル人の間で熱烈な支持を集める牧師・ヨシザキ。各人のエピソードも全て強烈で、むせかえるような孤独と欲望、悪意がうずまく。

 「群像小説のような作りになっています。沙羅も優子も、『子供を持たない人間は無価値だ』という国策的な圧力に追い詰められている。私たちの世代が乗り越えてきたことが、また噴出してきているように思えます。川島は関わる女たちを、みな破滅させていきますが、ミソジニー(女嫌い)や、それと密接な関係にあるレイシズム(人種差別)も、震災後に噴出した悪意の一つ。それらへの腹立たしい気持ちもある」

 後半では、震災から8年後、2019年の日本を。原発が4基とも爆発し、東日本すべてが居住困難になった世界だ。「現実より少しだけ激しい世界です。でも、これは『もしかしたらありえたかもしれない日本』なのです」

「アイデンティティーの曖昧な人に心ひかれるんです」

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