仏教は「小乗(自分だけの悟りを求める)」と「大乗(自らの悟りだけでなく他の人も一緒に菩薩行をして救う)」に分かれますが、日本で「大乗仏教」が大きく広まった背景には、日本人にその素質が整っていたことにあります。「日本が大好き」という外国人が多い理由は自然や文化の素晴らしさのみならず「菩薩の慈悲心」を持つ日本人の温かさ、優しさも大きな理由のひとつとなっているのではないでしょうか。
「国宝とは何物ぞ。宝とは道心なり。道心ある人を名けて国宝と為(な)す。故に古人の言く、径寸十枚、是(こ)れ国宝に非ず、一隅を照す、此れ則(すなわ)ち国宝なりと」
これは比叡山延暦寺を創建した伝教大師の書かれた「山家学生式」の冒頭の部分です。「国の宝とは一体何でしょうか。宝とは仏道を求める心です。道心ある人を宝というのです。古の人が次のように言いました。『直径3センチくらいある素晴らしい宝石が10個あったとしてもそれは国宝とは言わない。一隅を照らす人こそ国宝という』と」