伊武雅刀(いぶ・まさとう、66)演ずる敵対する組の組長は、アル・パチーノ(75)の「スカーフェイス」(1983年、ブライアン・デ・パルマ監督)に登場する、貫禄があるが実はたいしたことのないボスみたいで面白い。本作で最大の悪党、まるでマフィアのような、しかし現代的なヤクザを演じていたのが安藤政信(40)。彼の狂いっぷりはまさに現代っ子。これにショーン・ペン的な狂気が身に付いていたら、全員を食ってしまったであろう。
やっぱり「カ・イ・カ・ン」
でもそうなると、ヒロインがかすんでしまうから、そうなるとやはりヒロインは薬師丸ひろ子じゃないと、ということになってしまう。作品のバランスからするとこれで正解なんだと思う。
本作は「セーラー服と機関銃-卒業-」というタイトル。この卒業の意味がラストに分かる。そして意外なエンディングになるのだが、私はこの場面で「カ・イ・カ・ン」が来ればいいのにとは思ったのだが、それは監督との好みの問題だから仕方がない。でもこの終わらせ方はアイドル映画の王道。それを恥ずかしくないように押さえた演出は監督のセンスである。